企業の目利き
企業の目利き
営業力がある会社で高く、営業力が無い会社で低いものは何でしょうか。それは、売上高に占める新規取引先や新商品の売上構成比です。高い営業力を有する会社の数値は20%程度。つまり、5年で取引先や商品が入れ替えられることとなります。
客先の都合で取引が無くなっていくケースは多いのが実情です。工場閉鎖、合併、海外進出などで取引が無くなるのを営業力で食い止めることはさすがにできません。従って、5年で取引先を入れ替えるくらいの勢いで新規開発や新商品販売を行ってやっと、安定成長ラインを築けることとなります。
具体的には、客先内での未取引部門との取引を始める、紹介等で全く新しい取引先を見つけてくる、新分野商品を丁寧に販売し着実に市場に定着させていくなどの努力が日常的に行われることになります。
急速に収益が悪化する企業のほとんどは、「新規開発や新商品販売活動=新たな収益源作り活動」に取り組んでいません。だから中口先~大口先に当たる客先からの仕事が無くなった途端、とんでもない大赤字となり、回復できないでいます。なぜ、今まで新たな収益源作りに取り組まなかったのかと聞くと、市場環境が悪すぎるから無理、うちの業界は特別だ、案件は市場には無いなどと言い訳ばかりしています。
ひとつは、甘さです。既存先との取引は比較的楽です。新しい取引先を開発するのには大変なエネルギーが必要です。本来は利益が出ていて余裕がある時に人を入れるなどの手を打ち、新規開発や新商品販売活動に力を入れるべきですが、新規先の仕事が入って忙しくなると既存先に迷惑をかけるなどの言い訳をし、厳しい世界に入らないのです。
もうひとつは、新しいお客様に会うことへの怖さ、面倒さです。生産財系の製造業はもともと組織的な営業機能は強くはありません。会長や社長が築いてきた人脈の上で、仕事の内容に関わるやり取りを行う活動を営業と思っています。これは厳密には営業ではありません。取引先の窓口業務です。つまり、本当の営業活動が何かわかっていないために、打つ手を持っていなかったともいえます。
まずは既存先を分析し、どの取引先ならより多くの受注がもらえる可能性があるかを調べることから始まります。そこに担当者を設置し営業活動を実践させるのです。
この時に大事になることは、何をどう売るかを明確にすることです。訪問回数を増やすだけでは受注を獲得することはできません。 取引先に自社を活用するメリットをしっかり伝えていくための「売るしくみ」を明らかにし営業活動のやり方を変えることが肝心です。