企業の目利き
企業の目利き
健全な企業であってもコストダウンは収益力を維持するためには重要な課題です。 コストダウンは、単に仕入先を叩くだけではありません。でも実際に行われているのは仕入先叩き。確かにコストダウン効果は得られます。仕入先からの協力を得ることも必要ですが、無茶をやると信頼を失い、結局は機動力のある調達体制を失うことにもなりかねません。
コスト管理は、自社の中でムリ、ムラ、ムダなどのロスを明らかにし削減していく活動です。この一環に仕入先への協力依頼は存在します。
儲かっていない製造業で多いのは、材料ロスが多い、機械停止時間の短縮などの実効性のある業務改善手段が講じられていない、ミスやクレームで想定外の費用が発生しているなどです。管理が甘いために、得られる利益を流出してしまうのです。
大型機械などで設置工事が必要な場合は、取引先との調整がうまくできてないため、追加工事ややり直しが頻繁に発生し、利益を流出しているケースもあります。 仕入先や外注先への発注にしても、単価情報を持たず勘と経験のみでの発注や値下げ交渉をしているケースもあります。情報を持たずに行う値下げ交渉では、売り手が賢ければは適当にあしらわれるだけです。
このような自社の利益ロスのポイントを明らかにして、自社の利益ロスの程度を金額で掴む、その上で利益を失わないようなチェック体制を持つ、定期的なミーティングでフォローするなどの仕組みを持っていれば、コスト管理がある程度はできているといえます。 収益が悪化している企業の多くは、自社の利益ロス金額がいくらかさえ掴んでいない事がほとんどです。
コスト管理とはそもそも、どの部署の誰がどの材料や作業に対してコストが適切な状態となるよう監視し対策する責任を持つのかを明らかにした管理の仕組みを指しています。 コスト管理力を高めるためにはこの仕組みを企業内に導入しなければなりません。
難しくはありませんが面倒です。どのタイミングで、何に基づき、どんなチェックをするのかといったことを、実務の邪魔にならないよう複雑化するのを避けながらまとめていくのです。 仕組みが決まったら、トップやコスト管理担当役員が全責任を持ち、決められたことが着実に推進されるようリーダーシップを発揮します。
この仕組みができない限り、コストダウン、利益率の改善は掛け声倒れになるでしょう。